HOME MEDIA 実は若年層(Z世代)はテレビ離れしていない?視聴時間だけが減少している原因と、若年層の視聴目的・テレビ利用の今後を徹底解説!

実は若年層(Z世代)はテレビ離れしていない?視聴時間だけが減少している原因と、若年層の視聴目的・テレビ利用の今後を徹底解説!

MEDIA 2022.03.11

SNSが普及し、若年層が「テレビ離れ」しているとも言われています。2021年5月に朝日新聞がNHK放送文化研究所のデータを元にリリースした記事では、10〜20代の約半数がほぼテレビを見ないという実態を「衝撃的データ」として発表しています。

(参考:10~20代の約半数、ほぼテレビ見ず「衝撃的データ」:朝日新聞デジタル

マーケターにとっても、果たしてテレビは若年層に訴求するために有効な媒体なのか、迷うポイントなのではないでしょうか。

この記事では、若年層はテレビとどう向き合っているか、視聴の実態からテレビに求めているものまでまとめて徹底的に解説しました。

若年層は実はテレビ離れしていない?

若年層がテレビ離れをしていると一般的に言われている理由は、視聴時間の減少にある可能性が示唆されます。実際、若ければ若いほどテレビの平均視聴時間は年々減少する傾向にあり、10代の平均視聴時間は2020年に1時間を下回っています。


(参考:テレビの視聴時間は若年層から中年層で減少中(2021年公開版)(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース

しかし、2021年にZ世代を対象に行われた調査では、テレビを毎日見ると答えた割合が58.5%と半数を上回り、週3回以上の人は合わせて80.8%と、一概に若年層がテレビ離れしていると言うことはできない結果となりました。


(参考:視聴頻度、ドラマの視聴状況、データから読み解くZ世代のテレビ事情|@DIME アットダイム)

以上より「高頻度でテレビを見てはいるものの長い時間は見ない」のがZ世代のテレビに対する接し方だとうかがえます。

このようなテレビに対する接し方になった理由は2つあると考えられます。

①SNSの普及による影響
②テレビ視聴の目的の必要性

ここからはそれぞれがどのように若年層のテレビ視聴に影響を与えているかを紹介します。

SNSの普及がテレビ視聴に与える影響は?

若年層のテレビ視聴時間が減っている理由として真っ先に挙げられるのが、SNSの普及です。

2021年にZ世代に対して行われた調査では「普段チェックする情報源」としてSNS(YouTube等動画共有サイトを含む)を選択した人が79.8%、テレビ番組/テレビCMを選択した人が65.0%でした。

また、「最もチェックする情報源」としてSNSを選択した人が55.8%、テレビ番組/テレビCMを選択した人が14.8%でした


(参考:全国のZ世代の高校生・大学生・社会人の男女6953人に聞いた「もっと知りたい、Z世代。 ~情報・人との接し方とは~」|株式会社ネオマーケティングのプレスリリース)

一方以前SORENAが独自で行ったリサーチでは、TV/動画を見ながらSNSを利用している若年層が63.3%という結果が出ています。


(参考:マーケティングリサーチ第4弾|若年層(Z世代とミレニアル世代)のマルチタスク化~若年層のSNSながら利用~|SORENA|若年層マーケティング専門メディア)

このようにテレビもチェックされていないわけではありませんが、SNSに可処分時間を取られていて、見られていたとしてもSNSを利用するときのBGMとされていることがうかがえます。

これをポジティブに捉えると、SNSの優先度が高くなっているからこそ、SNSでテレビ番組への接点を持たせることで若年層をテレビの視聴に誘導することができるのです。

テレビの視聴目的の必要性とは?

今までは無目的でテレビをつけ、チャンネルを回しながら面白そうな番組を見つける、というテレビの見方をしていた人も多いのではないでしょうか。

ところが今の若年層はそのような目的のないテレビ視聴は行わない傾向があります。

その理由としては、最もチェックする情報源が「SNS」となった今、その「無目的でチェックして面白そうなコンテンツを探す」行為の対象がSNSに向けられていると考えられます。

では若年層は一体どういう目的でテレビを視聴するのでしょうか?

ここでは、若年層がテレビを見る目的を3つ紹介します。



①周りの人と情報共有がしたい

「番組の内容を通じて周りの人と繋がる」ことは、テレビを見る目的の一つです。

2021年にZ世代を対象に行われた調査では、放送されているドラマを「テレビでリアルタイムで観る」人が38.9%と、無料見逃し配信やサブスクサービスでの視聴を上回る結果となりました。


(参考:https://dime.jp/genre/1212845/視聴頻度、ドラマの視聴状況、データから読み解くZ世代のテレビ事情|@DIME アットダイム)

番組指定のハッシュタグを利用して感想を投稿したり、リアルタイムや次の日の学校で友人たちと感想を共有したりするという目的があるため、テレビ離れをしているというイメージのZ世代もリアルタイムでテレビを観るのです。

もちろん見逃し配信などの活用もされていますが、遅れを取るとSNSに溢れている情報についていけなかったり、見たくなかったネタバレを見てしまう可能性があります。リアルタイム以外の選択肢は、あくまでもリアルタイムで参加できなかった時の代替措置だと考えられます。

2020年にZ世代に対して行われた調査では、68%がテレビを見ながらSNSを利用しているという結果が出ています。見ている番組に関する情報をリアルタイムで共有を行うという行為も、テレビを見ながらSNSを利用することを助長していると考えられます。


(参考:Z世代、68%がテレビを見ながらSNSを利用/スマホ利用時間の24%がSNS【ニールセン調査】:MarkeZine(マーケジン))



②推しをチェックしたい

推しが出演する」というのも、テレビを見る目的の一つです。

2021年に行われた調査では、ティーン層がテレビ番組について検索する理由の1位は「推しの人物やキャラクターなどが出ているから」という結果が示されています。


(参考:ドラマ『恋つづ』を支持した女性ティーン層への4つのアプローチ方法~Screens × ビデオリサーチ × マイナビ 共同調査・研究レポート【後編】)

推しの活動を応援するために、能動的に推しの出ている番組を検索し視聴するという行動から、テレビにかける時間を最低限にする効率の良さをうかがうことができます。



③信頼できる情報を得たい

SNSで得られる情報は信憑性に欠けるという認識を持っているデジタルネイティブのZ世代にとって「ある程度信頼できる情報を得る」ことは、テレビを見る目的の一つです。

2021年にZ世代に対して行われた情報源への信頼度に関しての調査では、テレビ番組/テレビCMで「信用している」「やや信用している」と回答した人は61.7%だったのに対し、SNSでは39.7%と、大きな差が見られました。

テレビの次に信用されているのがラジオ番組/ラジオCMでもあることから、様々な人の目によってチェックされた後放送されているものは精査された情報であるという印象が強いことがうかがえます。


(参考:全国のZ世代の高校生・大学生・社会人の男女6953人に聞いた「もっと知りたい、Z世代。 ~情報・人との接し方とは~」|株式会社ネオマーケティングのプレスリリース)

若年層を巻き込んだ事例

ここでは若年層をうまく巻き込んだテレビ番組の事例を紹介していきます。

・真犯人フラグ

2022年、若年層の間で話題となっている日曜ドラマ『真犯人フラグ』は、指定のハッシュタグをつけてドラマの考察を投稿するようプレゼントキャンペーンで誘導しています。周りの人とドラマについての考察を共有したいと思っているZ世代の心理を利用し、ドラマ内容の拡散を図った事例だと言えます。

(参考:【日テレ公式×真犯人フラグW開催】二択刑事と推理しよう!本作の考察を投稿してHuluチケット1か月分が当たるキャンペーン!|真犯人フラグ|日本テレビ)

・1分入魂

特番として開始したGENERATIONSの冠番組『1分入魂』の公式Twitterでは、放送前にフォロワー1万人を目指すと宣言し、番組が拡散され好評だったらレギュラー化をする可能性も匂わせ、「推しが出るテレビを見たい」というファンの心理を刺激した事例だと言えます。

(参考:GENERATIONSの奮闘をチョコプラが見守る「1分入魂」レギュラー放送開始 - お笑いナタリー

まとめ

結果、Z世代が「テレビ離れ」しているというわけは決して無いようです。

Z世代にとってテレビはSNSの二の次という位置づけだからこそ、テレビの利用頻度は減らずとも利用時間を絞り、効率良くテレビを視聴していることがうかがえます。テレビがSNSの補完的存在になっているとも言えます。

実際、若年層が時間効率(タイムパフォーマンス=タイパ)を求め、映像コンテンツを選別し、倍速視聴する傾向も見られています。

そのような傾向を持つ若年層の「テレビを見る目的」を満たすために、テレビ番組は「視聴者がみんなでSNS上で情報共有をしながら楽しめる」「出演している人の良さを最大限に引き出す」「テレビにしか出せない精査された情報を盛り込む」といった工夫を施す必要がありそうです。

また、SNSで若年層との接点を増やし、上記のような工夫を行っていることをアピールし、番組の視聴まで視聴者を誘導していくことが必要となってくるでしょう。

今後のテレビの在り方にも注目です。

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