HOME MARKETING Z世代のオタクにとっての「推し活」とは?「推し消費」の実態を徹底解説!!

Z世代のオタクにとっての「推し活」とは?「推し消費」の実態を徹底解説!!

MARKETING 2022.01.28

Z世代にとって「推し」が身近になっていることをご存知でしょうか。今後の消費の鍵を握るとも言われているZ世代は「オタク」であり、「推し活」「推し消費」を当たり前のように行う存在なのです。

今回の記事では、「推し」とは何か、推しを活用したPR方法まで網羅的に解説していきます。

Z世代にとっての「推し」「オタク」とは?

「推し」は言葉の通り「推している人」を指し、2次元のキャラクターから3次元の有名人まで、様々なジャンルの人に対して用いられる言葉です。類似の対象の中で「特に好き」というニュアンスを含む語で、排他的にならず類似の対象に対して寛容でありながら、自分がその中でも特に好きな人をアピールできる言い回しになっています。

また、何かしらを推している人は「オタク」と呼ばれ、「ファン」以上に熱量を持って応援している人というニュアンスで使われます。従来「オタク」と言えば「何かに愛着心を持ちすぎた人」というネガティブな意味を持ち合わせていましたが、Z世代はそのレッテルがあった時代を知らず、「推しに対して詳しく愛情が深い人」という肯定的な意味で使用しています。

Z世代に行われた調査では、「推しがいる」回答した人が96.3%、「推しが複数人いる」と回答したZ世代は76.1%という結果が出ており、「推し」がZ世代にとって身近な存在であり、様々な界隈で推しを作り並行して応援している場合も多いことがわかります。


(参考:Z世代 が熱狂する“オタ活” 驚くべき お金の使い方 とその 費用 Z総研調べ)

「萌え」から「推し」へ

かつてキャラクターや人などに恋愛感情とは別の愛着心を持つことは「萌え」という言葉で表現されていました。しかし、Google Trendsで検索ボリュームを見ると、「萌え」という言葉は徐々に衰退し、2019年の終わり頃に「推し」に抜かれています。

「萌え」はあまり周りにその感情を公言することなく、内的な好意を指していました。それに対して、「推し」は外的な好意と言えます。周りに推していることを公言し、共にオタク仲間と推しを応援し、周囲の人には布教することで、自分の推しの人生にいい影響を与えたいと考えるのが「萌え」との違いです。

(参考:「推し」の根底にはあるものとは。Z世代は「ステレオタイプ」な恋愛に疑問? | bizble(ビズブル))


(参考:https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=today%205-y&geo=JP&q=推し,萌え)

2021年の流行語大賞にもノミネート!「推し活」の実態

推しを応援するアクションを起こすことは「推し活(2021年の新語・流行語大賞にノミネート)」「推し事(推しとお仕事を掛け合わせた語)」「オタ活」などと呼ばれ、Z世代の生活の一部となっています。

オタク仲間と集い、みんなで応援するのが「推し活」です。Z世代に行われた調査では、「SNSで出会ったオタク友達と実際にあった事があるか」に対して39%がはいと答えています。

出会う場所は「コンサートやイベント」が70.1%、「普通に遊ぶため」が48.3%となっています。SNSでファンだけのコミュニティを形成し、その中でも特に気が合う人とはリアルで会い、オタ友同士でしか楽しめないことを楽しむために会っているという流れが伺えます。


(参考:Z世代 が熱狂する“オタ活” 驚くべき お金の使い方 とその 費用 Z総研調べ)

別の調査によると「推し活」をしている人はZ世代の35.6%、興味がある人も含めると60.2%にも及ぶことがわかっていて、今後一層「推し活」が行われていくことが予想できます。


(参考:「推し活」Z世代の6割が興味、うち53%が「1万円以上使いたい」)

「推し消費」が行われるのはなぜ?

以前SORENAでは若年層が精神的充足感を得るために行う「エモ消費」について紹介しました。(参考:なぜ現代の若年層は「エモ消費」を行うのか、など事例と共に徹底解説)

推しの活動を応援したいという気持ちを満たした時に得られる精神的充足感が鍵となっており、推しのために応援の気持ちを込めて消費活動を行ったことがあるか聞いた調査では、経験がある(よくある・ときどきある)と答えたZ世代女子は72.3%に上ることがわかっています。


(参考:Z世代女子は心に推しを持っている~Z世代女子の「推し消費」とは?~ | ウェブ電通報)

また、その際に「あまり金額を気にせず購入してしまう」と感じるかという質問に対して「はい」と回答した人が63.9%と、金額を気にしないほど推し消費に対して意欲が高いことも見て取れます。


(参考:Z世代女子は心に推しを持っている~Z世代女子の「推し消費」とは?~ | ウェブ電通報)

もちろん、Z世代は財力があるとは言えない世代です。出費が見込まれる時期の前にはグッズのために貯金をし、必要な時に金額を気にせず一気に注ぎ込むという方法でオタ活をしているようです。


(参考:Z世代 が熱狂する“オタ活” 驚くべき お金の使い方 とその 費用 Z総研調べ)

「推し消費」を利用したマーケティング

「推し消費」の中にも、推しに直接関係ある消費行動と、派生した消費行動の二つのパターンがあります。それぞれの特性を把握した上でのマーケティングを行うことが重要となってきます。

①直接的「推し消費」

「推し」と関連した物やサービスに対してお金を注ぎ込みたいという心理を直接利用し、企業がコラボグッズを発売したり、ブランドアンバサダーに起用したり、プレゼントキャンペーンを行ったりすることがあります。

そのような直接的な推し消費を利用する際は、各界隈のオタクがどのような消費に魅力を感じるか把握する必要があります。

以下に各界隈の代表的な推し活を紹介します。

・女性アイドルグループ

握手会やチェキ会への参加権を得るために、特典付きCDを多く買うことが定番の推し活です。自らが本人に会える機会を作れると同時に、CDの売り上げにも貢献できることがポイントです。CDには生写真と呼ばれる写真がついていることもあり、それを収集して飾るのも特徴です。

ローソンストア100が行った、対象商品購入で欅坂46(現:櫻坂46)の生写真やイベントが当たるキャンペーンは女性アイドルグループオタクの「推し活」を直接促進していると言えます。


(参考:https://www.lawson.co.jp/lab/store100/art/1376612_7419.html)

・K-POP

アルバムにランダムに同封されているトレカ(トレーディングカード)を集めるために、アルバムを何冊も買うのが定番の推し活です。近年ではオンラインでのミーグリ(ミート&グリート)が行われることもあり、その参加のためにもアルバムの購入が必要となります。

キシリトールが行っている、商品を購入した人にフォトカードが当たるキャンペーンはK-POPオタクの「推し活」を直接促進していると言えます。


(参考:XYLITOL×BTS オリジナルフォトカード2枚セットが当たる!BTSから、みんなへ。笑顔になれるプレゼント「Smile to Smileキャンペーン第3弾」開催!|株式会社ロッテのプレスリリース)

・アニメ/漫画/ゲーム

グッズを買うこと定番の推し活です。中にはたくさん缶バッジやアクリルスタンドを大量に所持し、部屋に綺麗に飾ったり鞄を装飾して(通称:痛バ)持ち運んだりする人もいます。

サンシャインシティプリンスホテルと「Identity V 第五人格」が制作したコラボグッズでは、缶バッジやアクリルスタンドを含む書き下ろしイラストのグッズが販売され、ゲームオタクの「推し活」を直接促進していると言えます。


(参考:「IdentityV 第五人格」ホテルコラボグッズ予約受付スタート!人気のクッションカバーが可愛くて困る - にじめん)

・YouTuber

投稿された動画に対する高評価・コメントやInstagramやTikTokでの推し関連の投稿をするなどして、SNSを積極的に運用し声が届きやすい推しに自分の投稿を見てもらえるようにすることが定番の推し活です。グッズが発売された時やイベントがある時は、普段コンテンツが無料な分お金を注ぎ込みます。

コカ・コーラ社の東京オリンピックに向けたTEAM Coca-Colaプロジェクトでは、人気YouTuber六組(HIKAKIN・はじめしゃちょー・フィッシャーズ・東海オンエア ・水溜りボンド・アバンティーズ)がアンバサダーとして起用され、PR動画を投稿するなどしてプロジェクトを盛り上げていました。滅多に見られない豪華コラボは、オタク心をくすぐっていました。


(参考:https://uuum.jp/posts/7667)

・音楽バンド/グループ

コンサートに行くこととグッズを買うことが定番の推し活です。応援しているグループのよっては、コンサートで推しの目を惹くようなコーディネートやグッズを製作し、コンサートに行くのも定番です。

GUとなにわ男子のコラボでは、パーカーを始めとする商品が発売されました。これを購入してオタク仲間と揃えて遊びに行ったり、コンサートに行くなどの方法での使用が見込め、ジャニオタの「推し活」を直接促進していると言えます。


(参考:GU公式|GU x なにわ男子|ファッション通販サイト)

また、どの界隈にも共通するものとして、グッズを保存用と観賞用で同じものを複数買うこと、推し関連のもので埋め尽くされた部屋にすること、推しの誕生日を祝うこと、聖地巡礼(推しの関連スポットに出向くこと)、推しと関係あるブランドの商品を買うこと、周囲の人に推しの布教活動を行うこと、などが定番の推し活です。

各界隈のオタクが何に重きを置いて消費する傾向にあるかを把握し、ターゲット層と企業のニーズをすり合わせることで、効果的に「推し消費」を利用したPRが行えます。


②間接的「推し消費」

直接的な推し消費から派生し、推し活を間接的に支援してくれるようなものに対しても推し消費が働きます。

・ホテルバリアンリゾート「推し会『合宿』プラン」

オタクのお泊まりに最適な、大型スクリーンでDVDを見られる宿泊プランを提供しています。コンサートのDVD鑑賞や、推しの誕生日会をするなどの利用方法が想定され、間接的に推し活を促進しています。


(参考:バリアン推し会 合宿プラン | ホテルバリアンリゾート ホテルで朝まで、大画面で推し鑑賞)

・タワレコ 「推し活グッズ」シリーズ

グッズ収納やコンサートの容易に最適なグッズを発売しています。メンバーカラーのものをゲットできるようにカラーバリエーションも豊富で、間接的に推し活を促進しています。


(参考:タワレコ推し色・推し活グッズ - TOWER RECORDS ONLINE)

他にも、コンサートのおめかしに関わる消費や、推しが所持しているものとお揃いのものを買う消費など、推し活に間接的に関わる消費を利用してマーケティングを行うことが可能です。


まとめ

Z世代にとっての「推し」「推し活」「推し消費」「オタク」に対する理解は深まりましたでしょうか。

「推し」という概念、そしてそれがどう消費に繋がってくるのかを理解することで、Z世代をターゲットとするPR施策に役立てることができます。特にお金をよく使うオタクに訴求する「推し消費」に着目したマーケティングは、これからも広まっていくでしょう。




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