ANA・伊勢丹・Nike・Asicsなどの企業の参入が進む「メタバース」!若年層(Z世代)から幅広い層へ広がる仮想空間の世界について徹底解説。今話題の「NFT」との関連性とは?
2021年、Facebook社がメタバース事業に力を入れるために「Meta社」へ社名を変えたことも記憶に新しいでしょう。
メタバースとは、メタ(超越した)とユニバース(世界)を融合させた造語で、ネット上で構成させた仮想の3次元空間を総称した呼び方です。
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注目を集める仮想空間「メタバース」を徹底解説!今後、経済活動にも影響を与えるのか?
メタバースが若年層との接点になると考えている企業もあり、日本でもいくつかの企業が参入しています。またNFT(非代替性トークン)も広がりを見せており、仮想空間上での商品の売買が行えることもあり、注目を集めている理由の1つと言えます。
デジタルネイティブである若年層(1990年代後半から2010年頃にかけて生まれたZ世代)は、物心ついた時からスマートフォンに慣れ親しんでいて、デジタル上のサービスに対して抵抗があまりありません。そのため、メタバースの利用に対するハードルも低く、また顧客体験の場としても考えられています。
今回は、今後メタバース上での顧客体験も期待される中で、メタバースの企業参入について、事例とともに解説していきます。
メタバースにおける企業の参入
ANAホールディングス
スマートフォンやタブレットからアクセスできるバーチャルトラベルフォーム「SKY WHALE」の開発を進めています。「SKY WHALE」の開発と運営を行うANA NEOの設立も行いました。
「時空を超える旅客機」をコンセプトにしており、3つのサービスで構成されています。
1.Skyパーク ユーザーは自宅にいながら最大8人が同時にバーチャル旅行を楽しむことができます。バーチャルツアーに合わせたリアル(現実)の旅行企画を予定することも可能となっています。
2.Skyモール 空港でのショッピングをイメージしたバーチャル空間です。自由にモールの中を歩きながら、買い物やイベントに参加することができます。ANAが展開するマイレージサービスの顧客にとっては、貯めたマイレージの利用手段が増えることになります。
3.Skyビレッジ
未来の街をイメージした空間で、バーチャルのスマートシティの実現を目指しています。
サイバー空間における医療・教育・行政のサービス展開を計画しています。
コロナ禍によりデジタル化が加速し、消費者の価値観が変化している中で、ANAグループはビジネスモデルへの変革を行うことを計画しています。ニューノーマル時代における新しい旅の体験価値の創造に向けて、サービス展開をしていく方向です。
参考記事:ANAが開発するバーチャルトラベル「SKY WHALE」にNFTが登場へ
ANA、バーチャル空間で旅行や買い物ができる「SKY WHALE」開発 22年に提供開始
三越伊勢丹ホールディングス
オンラインでもオフラインでも”最高の顧客体験”やグループの強みにデジタルを加えた”新しい顧客体験”を提供するため、2021年3月よりVRを活用したスマートフォン向けアプリ< REV WORLDS / レヴ ワールズ >を開始しました。
アプリ内では、時間や場所に捉われないオンラインの利便性に加え、新宿東口の街の一部エリアをモデルとした仮想都市空間や、伊勢丹新宿本店の一部コンテンツを再現した仮想伊勢丹新宿店を体感することができます。「REV WORLDS」の取り組みを通じ、リアル店舗と連動したコンテンツとリアル店舗では実現できないサービスを掛け合わせることで、新しい顧客体験の提供をスタートするとともに、今後は、新宿の一部エリアや実在する既存の伊勢丹新宿本店の枠だけに捉われず、他社コンテンツを誘致するなどして、VRプラットフォームの拡大にも挑戦しています。
2021年12月には、仮想空間向けの広告検証が開始されました。サービスで、仮想空間として伊勢丹新宿本店と商業ビル「新宿アルタ」周辺を一部再現しており、JVCケンウッドの広告が表示を行いました。
また伊勢丹の店内では、商品をタップするとECサイトへ接続し、そのまま購入できるような仕組みとなっています。
メタバース上で商品閲覧を行い、リアルに商品を購入できるという、新しい顧客体験を生み出しています。
左:「REV WORLDS」内の新宿アルタ前。JVCケンウッドのワイヤレスイヤホンの広告を掲載。
右:新宿伊勢丹本店1階の化粧品売り場。商品をタップするとECサイトへ接続。そのまま購入が可能。
参考記事:VRを活用したスマートフォン向けアプリ 「REV WORLDS (レヴ ワールズ)」 の提供を開始
バーチャル伊勢丹で広告掲出の実験へ 博報堂系
Nike(ナイキ)
鬼ごっこなどの疑似体験ができる「NIKELAND(ナイキランド)」を、仮想空間上に開設しました。キャラクターが身につけるためのナイキ製品の提供を行っています。モバイル端末経由で、現実世界での動きを反映させられる仕掛けも施しています。
ナイキはYouTubeなどでも子ども向けに体を動かす遊びの啓発に努めており、「ナイキランド」もその一環とみられています。
また、オンラインプラットフォーム『Roblox(ロブロックス)』内に没入型3D空間 NIKELAND(ナイキランド)をオープンしました。メタバース上に突如出現したこの空間では、3Dアバターを操作してプレーヤーと一緒に鬼ごっこやドッジボールなどのアクティビティを楽しんだり、〈Nike〉のアイテムを着用させることができるなど、ユーザーに新たな体験が提供されています。
参考記事:ナイキもメタバース参入、ゲーム内に「NIKELAND」設立
Nike が手掛ける初の没入型3D空間 NIKELAND が Roblox に出現
「ナイキランド」開設 若者向け仮想空間「ロブロックス」に
メタバースとNFT
メタバースでは、ゲーム内のアイテムや土地をNFT化して売却することがユーザーの収益に繋がります。そのためNFTのオークションなどに参加している企業も見受けられます。
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インターネット上のデータに価値が付く!?デジタルデータ、NFTを徹底解説!2022年にヒットするNFTトレカ&アートとは?
実際にNFTのオークションに参加している企業をご紹介します。
Asics(アシックス)
2021年7月にアシックス初のシューズNFT「SUNRISE RED NFTコレクション」のオークション販売を開催しました。
オークションで落札したすべてのNFT所有者は、アニメーションやメタバースを含むアプリケーションで使用することができる3D モデルやテキスチャーを受けることができることで、「Limited Edition」と「Gold Edition」の識別番号1番の最高額入札者には、特典として今後アーティストが制作する新たなNFTも進呈されます。
参考記事:公式サイト
Asics(アシックス)アバターにも利用できる「NFTシューズ」オークション販売へ
NFT上で落札された商品をメタバース内で着用したり、ショールームを展開することもあり、経済活動として成り立っています。
まとめ
メタバースが注目を集めるなかで、複数の企業で展開を進め、サービスの提供を開始しています。メタバース内で購買行動を行うためにNFTの利用も広がっており、NFTがメタバースの鍵を握っているとも言われています。
メタバースの利用が広がるか疑問視する人も多いようですが、デジタルネイティブであるZ世代へ接触を図れる可能性があると参入している企業も少なくありません。
またメタバースの利用が広がれば、Z世代を含む幅広い層へメタバースを通じて顧客体験から購買行動に繋がり、現実世界でも購買に影響を与えることができるかもしれません。