若者には当たり前?!MBTI診断、パーソナルカラー診断、骨格診断など「診断コンテンツ」流行の要因とは
昨今若者の間で流行りつつある「診断コンテンツ」。
ジャンルの異なる様々な診断があり、質問に答えていくだけで個人をカテゴライズしてくれることが特徴です。診断コンテンツをベースにした商品が販売されたり、診断コンテンツに特化したSNSアカウントがフォロワーを集めたりなど、若者を中心に注目されています。マイナビの調査によると、2023年に10代女子の間で流行した“コト”ランキングで「MBTI診断」が1位になるなど、診断コンテンツが流行していることがわかります。
この記事では、代表的な3つの診断コンテンツを紹介し、それらが流行した要因を分析します。
参考記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001869.000002955.html
①MBTI診断
もともとは2022年に韓国でブームとなった『16Personalities』が、誤ってMBTIとして日本で広がりました。(この記事では、若年層のトレンドと合わせてこちらをMBTIと記載します)
BTSやNewJeansなど人気の韓国アイドルメンバーらが診断結果を公表したことをきっかけに、Z世代の間で大きな盛り上がりを見せています。
参考記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/6dd377c5f98902215c34370ad92adc94b782737a
MBTI診断は、ウェブ上の60問の質問に対し、「とてもそう」「あまりそうでもない」「ふつう」などといった7段階の程度から回答を選択すると、“内向的”、“外向的”などの性格タイプが4文字のアルファベットで表現された診断結果が表示されます。診断結果は、16種類に分類されています。
SNSでは、各性格タイプの特徴を紹介するコンテンツが人気を博していたり、日常会話の中にMBTI診断結果が登場したりと、若者の中では自分の結果を知っていて当たり前とされています。
②パーソナルカラー診断
パーソナルカラー診断とは、各個人の肌や瞳、髪の色を元に、ファッションやコスメにおいて似合う色や馴染む色を提案する診断方法です。
大きく分けるとブルーベース、イエローベースの2種類で、さらに細かくすると、スプリング・サマー・オータム・ウインターの4つのタイプに分類することができます。
近年では、若年層女性を中心にパーソナルカラー診断が大きなブームとなっています。コスメや洋服の販売コーナーやパッケージなどにパーソナルカラーが記載されることが増えたりと、日常的によく見聞きする身近な存在になりました。ストッキングやタイツの製造・販売を手掛けるアツギは、ストッキング選びに悩むZ世代に向けて、パーソナルカラーを取り入れた商品を販売しています。
参考記事1:https://lipscosme.com/posts/4201683
参考記事2:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000009792.html
参考記事3:https://storyweb.jp/personal-color-type/
③骨格診断
骨格診断とは、身体の特徴から自分自身の体型を最も合うファッションを提案する診断方法です。
「ストレート」「ウェーブ」「ナチュラル」の3つのタイプに分類することができます。
女性用下着の販売を中心とするワコールは、3D計測でAIによる骨格タイプ判定が受けられるサービスを展開しています。Z世代の来店が目立つであろう東急プラザ表参道店では、連日予約が埋まるほどの人気です。診断をもとに店舗スタッフとカウンセリングができたり、自分のからだにあった商品を選ぶのに役に立ちます。
参考記事:https://www.wacoal.jp/scanbe/index.html
骨格診断の他にも、肌タイプ診断・顔タイプ診断・髪型診断などが存在し、個人の肌や顔などのパーツの特徴に合わせて、適切なアイテムやスタイルを提案してくれる診断が人気を博しています。
参考記事1:https://www.wacoal.jp/news/newsrelease/202403/release178365.
Z世代は診断コンテンツをどう活用している?
診断コンテンツの種類は多岐にわたりますが、それぞれの診断結果の活用シーンや方法も様々です。
検索キーワード
情報やモノが溢れかえる現代において、自分の望む情報を入手するための絞り込みの手段として、診断コンテンツの結果を検索キーワードとして活用しています。
例:「リップ ブルベ」「骨格ウェーブ スカート」
20代が多く利用している美容口コミサイトの“LIPS”では、パーソナルカラー別のおすすめコスメが投稿されており、多くの人が参考にしています。インスタグラムでは、診断結果別のおすすめのコーディネートやメイクをまとめたアカウントが人気を博しており、洋服やメイクだけでなく、ヘアスタイルやダイエットに関する投稿も見られます。
また、自分と同じ診断の著名人やインフルエンサーの真似をする人もいるようです。
自己分析
MBTI診断で分かった性格タイプを、仕事選びの参考や自己分析に活用したり、パーソナルカラー診断や骨格診断を客観的な指標として捉えることで、他人からどのようにみられているかを知るためのヒントとしています。例えば、Z世代の新入社員が職場の自己紹介で自分の性格タイプを紹介するなど、血液型診断のようにMBTI診断を自分の性格を端的に紹介する目的で活用しているのです。
参考記事:https://tomiyo-job.com/media/?p=920
会話のきっかけ
診断コンテンツの結果に特別な関心を寄せているわけではないけれど、友だちと自身のタイプについて語り合ったり、Instagramのプロフィール欄にMBTI診断の性格タイプを記載することで、会話のきっかけになることも多くあります。
それぞれの診断コンテンツの結果によって、他人との違いや共通点が明らかになることで、初対面や今まで交流が少なかった相手とも盛り上がりやすい話題になるのです。
これらの活用方法のほかにも、診断士の資格を取るなど、診断コンテンツの楽しみ方は様々です。
診断コンテンツはなぜ若者の間で流行しているのか?
診断コンテンツが若者の間で流行している要因の一つに、多くの若者たちの心の根底に、「失敗を恐れる」心理(「損失回避バイアス」)が存在しているためだと考えられます。
昨今、コスパ・タイパという言葉をよく耳にするようになりました。コスパ・タイパを重視する若者は、自分に合わない物を購入してしまう金銭的なコストや、自分に合わない人と付き合う時間的なコストをなるべく削ぎ落としたいと考えています。
そのような心理を持つ若者は、診断コンテンツを通じて客観的に自分を理解し、自分に真に似合うものや自分の本来の姿、他人からの印象などを把握することで、なるべく失敗を回避しようとしているのです。>
また、多様化が進む社会の中で、自分のアイデンティティを確立したいという若者の深層心理も、診断コンテンツの供給と合っているのではないかと考えられます。
まとめ
診断コンテンツが流行している若者の間では、自分の診断結果はすでに当たり前の予備知識のような存在になってきています。世の中にありふれる情報や商品が自分に必要であるか否かを効率よく取捨選択するための基準としてのニーズがこの流行を生んでいるようです。診断コンテンツをマーケティング的に活用することで、若年層の消費行動を促すことができるかもしれません。