若年層(Z世代)は複数ジャンルの人や物を参考にして取り入れる?!好みの多様化を徹底解説
企業がPRを行う際、どのような人をイメージモデルとして起用するのかは一つのポイントとなってきます。若年層をターゲットにしている場合、「若年層が参考にしている人」は常にチェックしておくべきでしょう。
しかし、今「若年層が参考にしている人」といえば誰を思い浮かべるでしょうか。
「一世を風靡するアイコン的存在」と言えば、松田聖子・安室奈美恵・浜崎あゆみなど、かつては時代を代表するロールモデルがいて、その人たちがトレンドメーカーとなっていたという印象がある人も多いでしょう。
ただ、現代ではテレビに出ているいわゆる芸能人だけではなく、SNSで発信しているインフルエンサーなど「有名人」がたくさんいます。憧れの対象が分散し、トレンドが誰か主体で動かされることは滅多になくなっていると考えられます。
では、現代の若年層は誰に憧れ、何を参考にした消費行動を行っているのでしょうか。
参考にしている人の多様化
2021年にZ世代に行われた調査では、推しが複数人いると回答した人が76.1%にものぼりました。
(参考:Z総研トレンド通信Vol.12『オタ活編』)
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Z世代のオタクにとっての「推し活」とは?「推し消費」の実態を徹底解説!!
2022年に15〜24歳を対象に行われた調査では、「一番信頼にしている/参考にしているインフルエンサー」に様々な人の名前が挙げられていましたが、票が分散しているのが見て取れます。
(参考:若年層が信頼・参考にしているインフルエンサー1位は昨年に続き「HIKAKIN」!)
また、若年層読者が多いモデルプレスが2021年に行った調査では、「メイクを参考にしている芸能人」「私服を参考にしている芸能人」それぞれに全く別の面々がランクインし、票数も分散しています。
(参考:読者が選ぶ「メイクを参考にしている女性芸能人」ランキングを発表<1位~10位> - モデルプレス
読者が選ぶ「私服を参考にしている女性芸能人」ランキングを発表<1~10位> - モデルプレス)
2021年に行われた調査では、影響を受けたインフルエンサーの発信媒体が主にInstagram・YouTube・Twitter、そして15〜19歳の女性はTikTokが加わり、複数媒体あることもわかっています。
(参考:購買行動におけるインフルエンサーの役割 | 販促会議デジタル版)
また、商品やサービスを知るきっかけとなったSNS上での投稿は、インフルエンサー以上に一般人の投稿のことも多いことがわかっています。
(参考:購買行動に影響を受けるインフルエンサーからの情報源は、男性YouTube、女性はInstagram【ソーシャルコマース定点調査】 | ネットショップ担当者フォーラム)
膨大な情報の中から、参考になる人芸能人・インフルエンサー・一般人問わず見つけていることが伺えます。
そして、そのような人たち複数人を「組み合わせて」参考にしているとも言われています。「いいとこ取り消費」「ビュッフェ消費」という名前がつけられ、今後の若年層の消費傾向の鍵となりそうです。
(参考:Z世代が実践“ビュッフェ消費”とは 量産型より「いいとこ取り」)これは「自分らしさ」を追求し表現すること、そしてインターネット上での検索を駆使することに長けている現代の若年層ならではの傾向と言えるでしょう。
ジャンル・時代の垣根を越えて多様になる「好き」
実は、多様になっているのは「参考にしている人」だけではありません。
・ファッション
2021年にZ世代に行われた調査では、自身のファッションテイストとして3つ以上のジャンルを選択した人が男性では28.2%、女性では44.2%でした。一つのジャンルにこだわることなく服を選択していることがわかります。
(参考:Z世代のファッションに関する意識調査)
また、ファッション業界ではレトロブームの一貫で「Y2K(2000年あたりのファッション)」が再流行していたり、古着に魅力を感じる人が増えたりしています。時代の垣根を超えて好きなものを発見し、それを抵抗なく取り入れる姿勢があることがわかります。
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昭和レトロブームの次は? Z世代流行中の「昭和レトロ」、「平成レトロ」、「輸入レトロ」を徹底解説!!
・音楽
米国のZ世代に2018年に行われた調査では、97%近くが「少なくとも5つの音楽ジャンルを日常的に聴いている」と答えています。
(参考:米Z世代の音楽消費調査、複数ジャンルを聴くユーザーが増加 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン))
また、ファッションと同様レトロブームにより、TikTokでは広瀬香美の『ロマンスの神様』・ORIGINAL LOVEの『接吻』・フィンガー5の『学園天国』など2000年以前の曲が流行しています。
このように、若年層は多岐にわたるものを好きになり、それも一人一人違う「自分らしい」ものを好きになります。
では、このような若年層にPRを行う際のポイントは何なのでしょうか。
「好き」が多様な若年層には多角的なアプローチ
「好きな人・もの」が一つに定まっておらず、複数を組み合わせてアイデンティティを形成する若年層に気に入ってもらうためには、少し工夫する必要があります。
・BIrdog
若年層に人気のYouTuberコムドットのプロデュースするアパレルブランドBirdogは「次世代を担う若者」12名をモデルとして同時起用しました。フォロワー数で見ると比較的少ないものの影響力がある「マイクロインフルエンサー」に当たる人たちを集めて起用することで、好みが多様化している若年層との接点を増やし、コンテンツが刺さる確率を上げた事例だと言えるでしょう。
(参考:Birdogオフィシャルサイト)
・SPINNS
若年層に人気のファッションブランドSPINNSの公式サイトには、一見別々に見える6つのテイストが記載されています。従来の感覚だとブランドイメージのために一つに絞った方がいいのではないかと思うかもしれませんが、6つのジャンルには共通した「SPINNSらしさ」も見られ、SPINNS内だけで様々なテイストを楽しむだけでなく、自分らしく組み合わせることも可能にしています。
(参考:テイスト | SPINNS WEB STORE | SPINNS (スピンズ) 公式通販)
まとめ
若年層は膨大な情報の中で生きることが当たり前になっていて、目当ての情報を見つけるための検索能力が身についています。
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Z世代の情報収集方法とは?大切にしているのは口コミ?SNS検索やおすすめ機能の活用法も解説
情報を得る手段・機会の多さ故、さまざまな人・ファッション・音楽などを好きになり、ジャンルや時代の垣根を超えて自分の生活に取り入れているのです。
そんな若年層を相手にPRを行う際は、多角的なアプローチで接点を増やし、興味を持ってもらう必要があります。「一人のイメージモデルに頼る」「一つの方向性だけで商品展開をする」ことでブランドイメージを確率するだけでは足りなくなってくる可能性があります。
若年層の好みの多様化を念頭に置いてアプローチをしてみてはいかがでしょうか。