若年層(Z世代)はコスパ重視でお金に対して保守的?!貯金したい若年層が消費行動を起こす理由とは
以前の記事で若年層のお金事情について深堀りしたところ、お金に対する価値観は「将来重視派」と「現在重視派」に二極化していることがわかりました。そして、若年層は限られた予算の中で、無駄を省きつつも、消費に前向きな姿勢で楽しんでいるという結論が得られました。
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若年層(Z世代・20代)のお金事情を徹底解説!実はコスパ重視でも消費に前向き?!若年層の消費行動やコロナ禍前後の消費意識の違いを紹介
では、若年層はどのような感情が原因で上記のような消費行動に至っているのでしょうか。また、その結果お金に対してどのようなアプローチをしているのでしょうか。
この記事では、お金に対して保守的な若年層について深掘りし、どのようなマーケティング施策が消費のきっかけとなるかについて解説していきます。
若年層は現在・将来共に不安
2022年に20代に行われた調査によると「現在の貯蓄状況に不安を感じている」と回答した人は76.9%にものぼることがわかっています。
(参考:20 代の金銭感覚についての意識調査 2022)
そして、2018年に行われた調査では、「老後のくらし」に関して「不安がある」と「どちらかといえば不安がある」と答えた20代は77%でした。ちなみに30代になると、さらに85%にまで増加することもわかっています。
(参考:世代別比較 くらしとお金に関する調査2018)
以上から、20代の若年層は現在の貯蓄状況だけでなく老後のくらしに不安を感じており、30代になってもその不安は消えるどころか増えていく可能性が示唆されます。
では、お金の状況を不安に思っている若年層はどのようなアクションを起こしているのでしょうか。
不安に対するアクションは「貯金」
2020年に行われた調査によると、貯金している人の割合(全体 - 貯金しなかった人の割合)は、20代単身で77.7%・2人以上世帯で95.2%という結果が出ています。2人以上世帯になると貯金意識が上がること、そして単身でも既に多くの人が貯金していることがわかります。
(参考:20~30代の貯蓄や投資事情は?【初心者向け】おすすめなポートフォリオの作り方とは|iyomemo(いよめも))
2021年に行われた調査では、20歳以上のZ世代とミレニアル世代(おおよそ20代〜30代)の月収に対する貯金比率が他の世代と比べて高いことがわかっています。月収が決して多いわけではない世代であるのにもかかわらず10%以上の金額を貯金しているのは、貯金の意識が高いと言えます。
(参考:貯金アプリfinbee(フィンビー)、貯金・コロナ前後のお金に関する調査実施コロナ禍で世帯貯金額300万円以上が増加)
お金に関する不安を抱えていて、貯金意識が高い若年層に対して、消費を促すためにはどうすれば良いのでしょうか。
消費のきっかけは「価値」
若年層は貯金意識が高いだけで、消費に対して後ろ向きなわけではありません。以前の記事で触れた通り、しっかりとした購入動機があれば、限られた予算をそれに対して費やすのです。
この記事では、若年層の購入を促す「企業が提供できる価値」を3つ紹介します。
①値段に対する内容のお得感
コスパ(コストパフォーマンス)重視の若年層は、値段に対する内容のクオリティを重要視する傾向にあり、サブスク(サブスクリプション)サービスは「お得感」の代表的な事例とも言えます。商品のコスパをアピールすることは、若年層の消費のきっかけとなるでしょう。
(参考:大流行の「サブスク」ビジネス!大学生へのアプローチ方法~大学生のサブスクお財布事情や定番サブスクも徹底解説)②精神的充足感
あえて手間暇やお金がかかってしまうもの、古いものや不便なもの、など、消費することで精神的な充足感が得られる「エモ消費」の価値が今若年層の間で再認識されています。
(参考:若年層(Z世代)の「エモ消費」が増加中?!「エモ消費」とは何か、なぜ現代の若年層は「エモ消費」を行うのか、など事例と共に徹底解説)推しを応援するための「推し消費」や、SDGsの達成に貢献するための「SDGs消費」も、購入時の精神的充足感を原点とした消費だと言うことができます。このようなアプローチをすれば、コスパ重視の若年層にも消費を促すことができるでしょう。
(参考:Z世代のオタクにとっての「推し活」とは?「推し消費」の実態を徹底解説!! 若年層(Z世代)は本当にSDGsを意識している?社会問題を解決する取り組みを効果的に発信している事例紹介 )③自己表現ツール
若年層には消費行動を通して「自分らしさ」を表現したいという特徴があります。パーソナライズやカスタマイズを可能にすることで「自分らしい消費」を促し、それをSNS等で表現する手段を提供することで消費を促進できるでしょう。
(参考:デジタルネイティブ世代の「自己表現消費」傾向が強化/消費行動3フェーズの特徴【電通デジタル調査】:MarkeZine(マーケジン))
【事例】KATE 無限の欲パレットメーカー
大手化粧品会社カネボウのブランド「KATE」はアイシャドウをカスタマイズし、オンラインでそれをそのまま購入可能なサービスを開始しました。「色から選ぶ」「色名から選ぶ」「顔分析からおすすめの色を提案」という機能がブラウザから手軽に利用でき、簡単に自分だけのカスタムアイシャドウパレットのシュミレーションを行い、SNS上にシェアできるようになっています。これはまさに若年層に「自己表現ツールとしての価値」を提供している事例だと言えます。
(参考:KATE | 無限の欲パレットメーカー)
まとめ
若年層は現在にも将来にも不安を抱えていて、積極的に貯金をしているとわかりました。 そして、そのような若年層にも消費をしてもらうために与えられるきっかけとして、以下の3つの「価値」を紹介しました。
①値段に対する内容のお得感
②精神的充足感
③自己表現ツール
お金に対して保守的な層に対してマーケティングをすることは難しいでしょう。しかし、若年層は今後の消費の鍵を握るとも言われており、避けては通れない存在です。
若年層マーケティングの際に以上の点を意識してみてはいかがでしょうか。