OMO型店舗や体験型店舗など、若年層(Z世代・ミレニアル世代)が求める新たな店舗の在り方を徹底解説!モバイルオーダーしないと受け取れないフルーツオレ店がある?!
2020年以降、リアル店舗での購入が減少し、ECサイトでショッピングする人が増えたのではないでしょうか。
2021年12月に一般消費者を対象に行ったインターネット調査では、2020年以降にネットショッピングの利用が「増加した」と答えた人が全体で48%、「変わらない」と答えた人が48%となりました。
ネットショッピングの利用増加が見受けられ、また利用している人が多くいることがわかります。
引用元:コロナ禍でネットショッピング利用が増えた人は48%。食品をネットで購入する上で最も重視するポイントは「安価であること」
ネットショッピングの利用増加とともに変化を見せているのが、店舗の在り方です。
近年、ECサイト(オンライン)と実店舗(オフライン)を融合した顧客体験を目的とした店舗が登場しています。オンラインとオフラインが融合した世界を「OMO(Online Merges with Offline)」と言い、OMO型の店舗が登場しています。
デジタルネイティブと言われるZ世代やミレニアル世代をターゲットとした店舗も多く、注目を集めています。
本記事では、OMO型の店舗について事例を基に解説していきます。
変わりつつある店舗の在り方。OMO型店舗とは。
「OMO」とは、顧客体験の向上を目的とするマーケティング手法です。Online Merges with Offlineの略語で、直訳すると「オンラインとオフラインの融合」を意味します。ネット(EC)と実店舗の垣根をなくし、消費者の購買意欲を促す施策です。
近年、「O2O」と言われる「Online to Offline」の頭文字を取った、インターネット上(オンライン)情報をきっかけに実店舗(オフライン)への来店を促す販売戦略が多く見られました。TwitterやInstagram、LINE等のSNSからセール情報を配信したり、顧客の位置情報から近隣店舗のクーポンを発行して来店促進するのがO2Oでした。
OMOと違い、オンラインとオフラインの両者を融合させる販売戦略ではありません。
総合的な顧客体験の向上を目的とするOMOを活用して売り上げを伸ばすために、オンラインとオフラインを融合を行います。融合するためには複数の部門や領域の連携が必要となってきます。
モノを売らない「体験型店舗」とは。
Amazonや楽天など欲しい商品が翌日に届くフットワークの軽いECサイトの拡大や、外出がためらわれる昨今、リアル店舗では厳しい状態であり、その存在価値が問われ始めています。
小売店舗の未来型と言われているのが、「体験型店舗」です。
リアル店舗細田院の優位点とされている”実際に賞品を触って試せる”機能をより強化したもの。特に何事においても「体験」を重視するミレニアル世代から強い支持を受けています。
消費者の消費行動もモノ・コト消費からトキ消費やエモ消費など、多様化していることも体験型店舗の支持を受けている要因の1つではないでしょうか。
特にデジタルネイティブと言われるZ世代やミレニアル世代は、「体験」を重視する傾向に強く、物心ついてからずっと不況が続いていることもあり、消費行動については現実的であり、体験と同じくらいのコストパフォーマンスを重視する傾向にもあるようです。
事例でみるZ世代をターゲットとした店舗
CHOOSEBASE SHIBUYA
2019年9月、西武渋谷店パーキング館1階に百貨店業態では初めてのメディア型「OMO(Online Merges with Offline)」の店舗であるCHOOSEBASE SHIBUYAがオープンしました。
この店舗は、百貨店で買い物をしないデジタルネイティブ層であるZ世代やミレニアル世代をターゲットとしています。店内は4つのブースに分かれており、ファッションからコスメ、雑貨、食品までデジタルに強いD2Cブランドを中心に誘致し、50以上のブランドが展示、販売しています。
店舗には販売員はおらず、値札の表示もありません。スマホが商品説明など販売員の役割の一部を担っています。商品のすぐそばに設置されたQRコードをスマホで読み取ると、ブランドの商品に込めた想いや商品の特徴を読むことができます。
購入する際は、読み込んだQRコードの専用サイトのショッピングかごに登録して、カウンターで決済完了となります。すべてデジタル上で完結する仕組みとなっているため、お客さんは買い物かごを持ち運ぶことなく店内を見て回ることができるようになっています。
店舗としては顧客体験を重視したメッセージ性に富んだつくりにしている一方で、バックエンドの設計としては、微細にテクノロジーを活用している点が特徴となっています。
QRコードを読み取ってからの購買に繋がった割合も分析しており、顧客の行動データを活用して、商品の展示場所を随時変更、最適化しています。また、店内には20個のAIカメラが設置されていて、顧客の性別や、年齢などを自動的に読み取り分析もしています。
参考記事:デジタルネイティブ世代に新しい買い物体験を!「未来の小売」 CHOOSEBASE SHIBUYAをレポート
そごう・西武初OMOストア「チューズベース シブヤ」は“未来の小売空間”を体現 初回は約50ブランドが出店
原宿 フルーツオレ専門店「The Label Fruit」
2021年12月に原宿店にオープンしたThe Label Fruitは、モバイルオーダーで注文しないと、店舗で商品を受け取れない「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」形式の飲食店です。BOPISとは、OMO施策の一環としたサービスになります。
スマホから事前に注文を受け付け、店舗は商品を渡すだけの場所となります。店舗では、撮影はできるが、飲食はできないという最新型の店舗となっています。
販売しているフルーツオレは、味がストロベリーやメロンなど5種類、下地となるミルクが豆乳など3種類から選べる。ナタデココや杏仁(あんにん)豆腐などのトッピングが選べ、甘さの度合いも調整可能となっています。また商品のラベルも自分でカスタマイズできるようになっており、Z世代に人気となっている理由の1つです。
店舗側では、スマホから顧客の購買履歴やAIカメラを使用して店内で動向データを店舗運営に生かしています。
参考記事:原宿にZ世代向けフルーツオレ専門店 「店舗で買えない」新戦略
原宿旗艦店 NIKE
2019年7月に原宿の旗艦店を体験型店舗「NIKE HARAJUKU」としてリニューアルしました。
公式アプリ「Nike App」と連動したシステムを国内で初めて導入し、オンラインと実店舗をシームレスに繋ぎ、顧客一人ひとりにあった商品の提案および購入体験を提供する店舗となっています。
シューズを自由にカスタマイズして購入できる「Nike by You」など、かねてよりECサイトでの顧客体験行動施策で大きな効果を上げています。
また店内で希望の商品のバーコードをアプリ内のカメラで読み取ると在庫状況などの詳細情報が表示されます。また店舗での購入以外にオンラインの在庫の取り置きが可能になるほか、店外にいる場合でも原宿店から
80km以内であれば、店頭在庫を確認して48時間に限って取り置きすることも可能となっています。
参考記事:
「ナイキ」原宿の旗艦店がリニューアル、アプリ連動でサイズ検索や取り置きが気軽に
在庫をアプリで確認 ナイキ、日本でもデジタルと店舗の融合加速
まとめ
2020年以降は外出できない状況が続き、ネットショッピングを利用している人が増加しています。その中で実店舗の在り方に変化が起こっていました。
デジタル化が進み、店舗は商品を購入するだけの場だけではなく、体験型店舗として生まれ変わりブランドとしての体験価値を見出す場と変化を見せています。
ブランドとしてもオムニチャネルでの繋がりではなく、オンラインとオフラインが融合することで、部門間の繋がりを強化することで、購買増加に繋がっていくことが期待させています。
今後は、OMO型の店舗が増加していく中で、ブランドの世界観や独自のサービスを提供することで、顧客の満足度の増加や商品購入の促進に繋がるのではないでしょうか。