注目を集める仮想空間「メタバース」を徹底解説!「NFT」技術も活用しながら、今後の経済活動に与える影響とは?
最近、話題となっている「メタバース」をご存知でしょうか。Facebook社がメタバース事業に力を入れるため「meta」へ社名を変更し、日本の企業もメタバース事業に参入するなど、注目を集めています。本記事では「メタバース」ついて解説していきます。
最近、よく耳にするようになった「メタバース」。 メタバースとは、メタ(超越した)とユニバース(世界)を融合させた造語で、ネット上で構成させた仮想の3次元空間を指します。
10月29日にFacebook社が、VR空間等の仮想空間サービス事業に力を入れるため社名を「meta」へ変更しました(Facebookの新社名は「Meta」に メタバースに注力)。
Facebookのマック・ザッカーバーグCEOは、社内に対して「若年層へのサービス提供を進むべき道だとする」と述べています。実際にSORENAでも調査したSNS利用率では、LINE96.9%、YouTube94.0%、Twitter80.3%、Instagram65%に対し、Facebookは18.4%と低い推移となっています(【2021年度SORENAリサーチ最新版】2020年~2021年にかけての若年層のSNS利用率の変化とは??)。
ここ数年で若年層のFacebook利用が減少し、今後さらに減少することが予想されることから、meta(旧Facebook)が、若年層から幅広い年齢層を取り入れるため、力を入れている事業です。
また日本では航空会社であるANAホールディングス株式会社も、バーチャル空間での新しい旅体験を提供する新会社ANA NEO株式会社を設立するなど、様々な事業が参入し、注目を集めています。
本記事では、いま注目を集めている「メタバース」について解説していきます。
メタバースとは?
メタバースとは冒頭でも述べましたが、メタ(超越した)とユニバース(世界)を融合させた造語で、ネット上で構成させた仮想の3次元空間を総称した呼び方です。
仮想空間というと、VR(仮想現実)ゴーグルを被って入るイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際はその空間内で多数の人間がアバターなどを通じて自由に行動し、交流する状態をメタバースと呼ぶことが多いです。
あまりイメージが付かないかもしれませんが、06~07年に一次ブームがあった「セカンドライフ」はこのメタバースの先駆事例です。マイクロソフトの傘下企業が手掛ける「マインクラフト」も、仮想空間内で自在に建造物などをつくり、複数の人が活動するという点ではメタバースといえます。
また近年、インターネット回線の高速化、5Gモバイル回線の普及などにより、メタバース事業が再燃しており、「フォートナイト」(Epic Games)や「あつまれ どうぶつの森」(任天堂)もメタバースの世界の一つです(SNSの行き着く先「メタバース」とは ITの巨人も狙う新世界)。
(左:マインクラフト、右:フォートナイト)
メタバースは日本の経済に影響を与えるのか。
メタバース=仮想空間と考えると、現実の世界とかけ離れており、ゲームの世界の話だけで現実世界には関係ないと思う人も多いのではないでしょうか。 しかし2020年以降、企業の仮想空間サービスの利用や経済活動を行っている様子も見受けられます。
メタバースの世界での企業コラボ
2020年3月に発売されたNintendo Switch「どうぶつの森」は、旅行会社であるJTBが同年7月14日に浅草や横浜等などの東京近郊の観光名所を再現した「JTB島」を公開。コロナ禍で旅行が厳しい中、旅の楽しさを伝えるために作成されたものです。 夏をイメージして関東7エリアをゲーム内で再現し、プレイヤーは各エリアを散策できる他、それぞれのエリアでのアクティビティにも参加できるような仕組みとなっていました(「あつ森」に「JTB島」登場 浅草・横浜・草津温泉など再現 社員が2カ月かけて作成)。
実際に、現実で体験できない物事を仮想空間内に創り出し、ユーザー体験に繋げた例となっています。企業の認知、かつ現実世界でも旅行の際にJTBの利用にも繋がるのではないでしょうか。
フォートナイト×バレンシアガ
Epic Gamesのバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」というゲームでは、高級ファッションブランド「バレンシアガ」とのコラボレーションしました。ゲーム内のコスチュームとして「BALENCIAGAフィット」が登場し、キャラクターに合わせたコスチュームが4種類展開されました。実際にコラボレーションアイテムとして、パーカーやキャップが店舗でも販売されました(フォートナイトに「バレンシアガ」のコスチュームが登場、スニーカーがツルハシに)。
メタバースとブロックチェーン
ブロックチェーンを活用してメタバースを構築すると、メタバース内に施策を生み出すことが可能となります。これがNFT(Non Fungible Token)と呼ばれる技術です。
NFTとは、ブロックチェーン技術を活用することで、アートやゲーム内のアイテムといった資産に作品や所有者の情報を追加できるデジタル資産のことを指します(最近流行りのメタバースとは?仕組みやNFTの関係性まで徹底解説!)。
NFTの技術が活用された経済活用として、まずは2021年4月「Everydays - The First 5000 Days」と名付けられたデジタルアート、つまり物理的な物体を持たない芸術作品が、約6935万ドル(約75億円)で落札されました。
メタバースとNFTが組み合わされることで、より多様で大規模な経済活動が仮想空間上で行われるようになると期待されています(いまさら聞けない「メタバース」 いま仮想空間サービスが注目される“3つの理由”)。
まとめ
最近話題のメタバースについて解説してきました。
メタバース=仮想空間と考えると現実世界とかけ離れており、どうぶつの森やフォートナイトなどゲームでしか馴染みがないかもしれません。しかしFacebook社が力を入れているように、日本企業の参入も進んでおり、デジタルネイティブといわれる若年層から始まり、幅広い層の利用に繋がることで、経済活動にも影響を与えていくのではないでしょうか。
すでにNFTの技術が使われ経済活動に影響を与えており、今後はメタバースと仮想通貨が連携されていくと、さらにメタバース内での経済活動が活発化していくかもしれません。
次回は、メタバース事業に参入している日本企業の取り組みを紹介していきます。