HOME MARKETING 若者(Z世代)の購買行動に変化?フリマアプリの台頭と新商品市場の意外な関連性とは

若者(Z世代)の購買行動に変化?フリマアプリの台頭と新商品市場の意外な関連性とは

MARKETING 2020.08.27

近年、メルカリを筆頭にフリマアプリ市場がどんどん拡大しています。
合わなかったものや使用しなくなったものをオンラインで気軽に出品することができ、欲しい人が購入するというとても合理的なシステムが人気です。

しかし、そういった中古品売買の文化が浸透すればするほど、新品商品を店頭や公式オンラインショップで購入する層が減ってしまうのではないか?という問題が浮かび上がります。

フリマアプリが人々の消費行動にどのような影響を与えているのか、新品購入市場は実際に減少してしまっているのかを見ていきます。

若者の消費行動

「最近の若者は車を買わない」「飲み会に行かない」など、「若者の〇〇離れ」というワードを耳にすることが多いと思います。

一方で、シェアリングサービスやフリマアプリなど「シェア」(消費者間での共同利用や中古品売買)を好む文化が若者を中心に浸透しています。

このことから、若者はお金を使わないというイメージを持ち、若者にフォーカスしてマーケティングをしても効果が薄いと考える人もいるのではないでしょうか。

しかし、若者はLINEスタンプ購入やYouTube上での寄付、通販などネットに関係した消費は多く、支出に占める交際費も非常に高いことがわかっています。若者のCDの購入率は下がる一方ですが、ライブの市場規模は年々増加傾向となっています。

つまり、若者はお金を使わないのでは決してなく「お金を使う場所」が時代とともに変化していっただけであるといえるでしょう。

さらに、「シェア」の文化についても実はフリマアプリは新品市場を脅かすだけではないことがわかっています。
フリマアプリでシェアすることは、新品市場を奪うどころか、むしろ484億円も拡大させていることが明らかになりました。

図     図:フリマアプリによる1次消費市場への影響(出典:東洋経済オンライン)

図は、フリマアプリで人気の6つの分野において、どれくらいフリマアプリによって新品市場の規模が変化したか分析した結果を示したものです。2万人を対象としたアンケート調査データを、計量経済学的に分析した結果となっています。

例えばファッション市場であれば288億円、エンタメグッズでは265億円新品市場が拡大している一方で、家電・スマホ等では124億円新品市場が縮小していることを示しています。合計すると、この6市場で484億円も拡大していることがわかりました。

消費者間の中古品売買が新品市場を脅かすどころかむしろ活性化し拡大させているという、とても意外な結果となりました。

同調査の中で、消費者の主観的な感覚でも「フリマアプリで新品購入金額が増えた」と感じている人は、「減った」と感じている人よりも多いという結果が得られています。

フリマアプリが新品市場を拡大した背景

なぜ「フリマアプリで新品購入金額が増えた」と感じる人が多いのでしょうか?

その背景には、購入したものがもし自分に合わなかった場合でも、捨てずにフリマアプリを活用して欲しい人に売ればいいというリスクの軽減から、新品購入に対するハードルが下がり気楽な購入が増えたことも要因のひとつといえるでしょう。

現に、比較的気軽に購入しづらい家電やスマホの新品市場が縮小している一方で、気軽に購入しやすいファッションやエンタメグッズの新商品市場が拡大しています。

シェアされること(消費者間で中古品として売買されること)を意識した製品開発が、昨今の情報社会ではむしろ今後売り上げを拡大していくのではないかと予想できます。

このように現代の若者は、決してお金を使わない訳ではなく、使う対象や場面が変化しているだけで実は旺盛であるといえるでしょう。

SNSでの情報の「シェア」と、消費者間での共同利用や中古売買の「シェア」をうまく活用したマーケティングが求められていくでしょう。


引用:
東洋経済オンライン「SNSがヘタな会社と使い倒す会社の決定的な差|若者にお金を使ってもらうための絶妙な仕掛け」