HOME TREND D2Cとは?なぜトレンドになったのか?統計も解説

D2Cとは?なぜトレンドになったのか?統計も解説

TREND 2020.08.13

ここ数年で「D2C」という単語を目にする機会は急増しています。
しかし、トレンドになっている理由がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。 今回はその理由を、統計と共に解説します。


D2Cとは?

「Direct to Consumer」の略で、消費者に対して商品を直接的に販売するビジネスモデルのことです。
(D2CやDtoCと複数の表記がありますが、意味はどちらも同じです。)

自社で企画・生産した商品を、自社のECサイトなどを活用して、流通業者(中間業者)を介すことなく消費者に直接販売を行います。
広告・マーケティング・販売の全てがデジタルで完結する点が特徴です。

個人の消費者と企業が直接やりとりを行うという点で、「D2C」と「B2C」は同じ仕組みだといえます。
しかし、「D2C」という単語は取引の対象者ではなく仕組みそのものを指すので、「B2C」という単語とは意味が異なります。


D2Cのメリット

1、ターゲットに直接情報発信ができる

従来のビジネスモデルでは、ターゲットに直接情報を届ける仕組みが確立されていませんでした。
そのため、TVや新聞、雑誌など、ターゲット以外のユーザーも含めて大衆にリーチできる媒体で情報を発信することで、包括的にターゲットにも接触するという方法がとられていたのです。

しかし、D2Cの仕組みを使えば、商品を必要としている消費者と一度でも繋がることができれば、届けたい情報をピンポイントで伝えることができます。


2、情報収集ができる

消費者から直接ヒアリングや情報収集をすることができます。
ターゲットがニッチな層、マスのどちらであっても必要とされる商品を把握してから生産できるのです。
そのため、受注生産型のビジネスに向いています。在庫を抱えるなどのリスクを回避することができるからです。


3、親密な関係が構築できる

D2Cはブランドと消費者の距離が近いため、ビジョンや哲学を丁寧に伝えることができます。 信頼を得やすく、消費者をコアファンとして獲得する機会が多くあります。

コミュニケーションをとる方法も多岐に渡り、蓄積データから消費者一人一人に対して商品の替え時や、生活の助けになる新たな商品を提案することもできます。


D2Cのデメリット

1、認知獲得が課題

元々広く認知されているブランドや、フォロワーの多いインフルエンサーがD2Cビジネスを立ち上げると成功しやすい傾向にありますが、そうでない場合は認知の獲得に手こずることが多いです。
認知獲得が上手くいかないと、D2Cの持つ特性を生かせず事業自体が失敗に終わるケースもあります。


2、初期経費が掛かる

D2Cの仕組みを採用すると、中間業者を介さないため中間コストを削減できます。
しかし、初期の設備投資にコストをかけた方が成果が高いといわれているため、初期投資には多大な額が必要なこともあります。
つまり、上手くいかなかった場合、初期投資にかかったコストの回収ができないリスクがあるのです。


D2Cはなぜトレンドになったのか


出典:https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20200705-00185587/

D2Cの人気が爆発した最大の理由は、スマートフォンの登場と普及です。
総務省が2020年5月に発表した「通信利用動向調査」からも分かるように、インターネットの利用層は、老若男女を問わず年々拡大しています。
具体的には、2019年時点のインターネットの人口普及率(過去1年間にインターネットを一度でも利用したことがある人の率)は89.8%・利用者人口は1億815万人でした。



スマホ保持年齢層の偏りも年々解消に向かっています。
また、スマホを保有している世帯の割合が初めて8割を超え、個人の保有割合も全体で67.6%となりました。


インフラが整備され、インターネット上での購買活動も今ではスタンダードになりました。
「インターネットは若者が利用するツールである」という固定観念も近いうちになくなることが予想できます。


D2Cの現在とリアル店舗

D2Cは2010年頃に、アメリカでスタートアップ企業を中心に展開されはじめました。

業界は年々変化していて、当時成功したアメリカのD2Cスタートアップ企業では、オフラインの価値を見直し、リアル店舗との連携を強化することで事業が成功した例もあります。

かつて、D2Cブランドといえば在庫を抱えない、オンラインで完結するやり方が主流で、リアルな体験の場が不足していました。

しかし、現代の消費者が求める「体験の価値」を付加するためにリアル店舗を展開し、欠点を補う例も出てきています。
そのため、リアル店舗は「体験の価値」に焦点をあてた設計になっていることが多いです。

現在、コロナ禍によってリアル店舗との連携は様子見をしている企業が多いですが、店舗での感染リスクが軽減されれば再開する見通しのようです。

D2Cは生まれたばかりのビジネスモデルなので、時代に合わせて刻一刻と姿を変えています。


D2Cの今後

D2Cは消費者一人一人のニーズに応えるために、さらに進化するでしょう。

パソコンと同じ機能を持つ、スマホが普及したことでいつでもどこでもインターネットが利用できるようになりました。

全ての機能をオンラインで完結させるため、初期投資が必要ですが、自社や個人のECサイト、SNSアカウントを持てば、従来よりも簡単に事業を展開できるようになったのです。

かつて、ビジネスを立ち上げる際にコネクションが必要だったのとは対照的です。

商品が溢れている現代では、性能だけでなく「誰が」「なぜ」「どのように」作ったのかというストーリーを作ることで生まれる付加価値が重要になりました。

そのため、強いストーリーを持ったインフルエンサーが大企業に負けない収益を上げることもできるようになったのです。

つまり、商品を売り買いするだけの関係ではなく、購入後の体験やライフスタイルにまで寄り添ったブランドが価値を持つようになったということです。

変化しながら数を増やし続けているD2Cブランド。
今後の動向に注視することで、時代の流れを探ることにもつながるのではないでしょうか。

次回は、ECサイトの成功事例を掲載します。

出典:通信利用動向調査 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/200529_1.pdf