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サウナの流行を通してみる”ととのうZ世代”への新しいマーケティング手法とその効果

TREND 2022.07.26

サウナブーム

サウナとは蒸し風呂や熱気浴の一つで、遠赤外や蒸気などで高温になった室内に入り、体を温め発汗するフィンランドが発祥の温浴方法です。日本では1964年の東京オリンピック以降に普及したと言われ、現在ではスーパー銭湯にあったりと身近な物として認識している人も多いでしょう。

サウナで「ととのう」ことを目的とした人々がコロナ禍の影響もあり増え続け、現在第3次サウナブームと呼ばれ、若年層を中心にサウナ利用が広がっています。

(参考:第3次サウナブーム過熱、なぜ?:バスや個室(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン)

サウナの人気はデータにも現れています。

まずは「サウナ」というキーワードの検索率の変化をみてみましょう。
検索数は全体的に右肩上がりの傾向となっていることが分かります。2020年3月から2020年6月にかけては約11万人にまでユーザー数は減少していましたが、その後右肩上がりで増加し、2022年1月の検索者数は約37万人と、3倍以上にもなっています。これだけユーザーが増加していれば、ブームとされるのも納得の増加度合いです。


(参考:サウナ流行を牽引するのは20代、流入ページ1位は「サウナイキタイ」。検索分析で見るサウナのトレンド(1/2) | ねとらぼ調査隊)

次にTwitterでのツイート数です。
2019年までは「銭湯」についてのツイートが「サウナ」よりも多くなっていましたが、2020年では「サウナ」が大きく上回っていることが分かります。


(参考:Twitterで考察! サウナブームの構造)

そして、3年間のツイート数の分布を重ね合わせてみると、2020年に発生しているトゲ状の山(短期で発生している話題)の一つひとつが過去よりも大きく、高頻度で発生していることが読み取れます。


(参考:Twitterで考察! サウナブームの構造)

次にZ世代の特徴を通し、なぜサウナだったのかを考えてみましょう。

なぜZ世代は「サウナ」を好むのか

なぜZ世代がサウナを好んで利用するのでしょうか?
理由としてはデジタルデトックスの効果が大きいからではないでしょうか。

Z世代はデジタルネイティブの世代であり、常にデジタルがつきまとう環境に置かれています。仕事から学業、友好関係全てにデジタルが絡み、生活の基盤となっていると言っても過言ではありません。

しかし、サウナ室にはスマホを持ち込むことが出来ず、デジタル機器から完全に離れられる状況を作ることが出来ます。熱いサウナの中でじっくり自分と向き合うことが出来る状況が、Z世代からの人気を支えているのかもしれません。

また、水風呂に入り外気浴で休憩を取ると、「再起動」するように頭も体もシャキッとするような「ととのう」感覚を体感することもできます。

お風呂とは違い短時間でリフレッシュ出来るので、タイパを気にするZ世代にもってこいのリフレッシュ法だからこそ、好む人が増えているのではないでしょうか?

また、新型コロナウィルスの流行によっても人気に拍車がかかっているようで、飲食店の利用時間制限など制限がかかる中、友人や恋人との交流の場としても「サウナ」が利用されることも増えています。サウナは24時間営業の店舗も多く、「黙浴」しながら関係を深めている若年層が多いようです。

一体感を生む「サウナ」

そんなZ世代の サウナ好き=サウナー たちの強い味方が「サウナイキタイ」です。

日本最大のサウナ検索サイトとして運用されているこちらのサイトでは、これまで人伝に聞いたり、個々のサウナ情報を検索したりと利用したい目的や地域に合わせた検索が難しかった問題を解決し、Z世代の身近により親しみやすい施設として認識されるきっかけとなりました。

サウナの感想を日記のように投稿出来る機能や、サウナ活動に取り入れやすいグッズなども展開し、一体感を生みながら広がっています。



クローズドカルチャーと「サウナ」

Z世代の人気に拍車をかけたもう一つの理由は、クローズドなカルチャーを求める若年層が多いことも挙げられます。父親世代に人気のあるもの、という認識から、流行の少し古びたものを体験するうちの一つにサウナも含まれているようです。
(参考:サウナに銭湯、そしてスナック!?若者のトレンドは渋い系へ移行中! | 株式会社グローバルプロデュース

これからのZ世代と「サウナ」

デジタルを駆使しての発展が目立つサウナ事業。
様々な視点から、Z世代への「サウナ」へのアプローチが目に止まります。 デジタル事業を通してZ世代へどのようにアプローチしているのかを、以下の実例を参考にみてみましょう。

SNSの「サウナ」

京都にあるサウナの梅湯ではお風呂やサウナの情報に加え、定期的に行われるイベントや近隣銭湯とのコラボ情報、オリジナルグッズの紹介もInstagramを活用し上手く宣伝されています。

特にイベントは頻繁に行われていて、Instagramで情報を集めるZ世代の目にも多く止まっているのではないでしょうか?



次世代サウナ

店舗内のサウナでは制限も多く、なかなか新しいサウナ体験に繋がることが難しいですが、「アート浴」と称して、ショートムービープラットフォームのTikTokと、アート集団チームラボの共同による「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」(以下、TikTok チームラボリコネクト)が開催されました。

東京・六本木に期間限定で開業した「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」。サウナエリア、冷水(シャワー)エリア、アート浴エリアを回遊できる施設としている。サウナ室には、中央にあるサウナストーンに水をかけて蒸気を浴びる、本場フィンランド式のロウリュを導入(写真:チームラボ)

TikTok チームラボリコネクトのサイネージ。入場に際しての基本的な感染症対策の他、サウナ室利用者の人数管理なども行っている。なお対策に関しては、日本サウナ・スパ協会が20年5月に「サウナ・スパ関連施設における新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」、日本サウナ学会が同年6月に「サウナ・温浴施設のための新型コロナウイルス感染防止ガイドライン」を示している(写真:日経クロステック)

(参考:チームラボの「アート浴」が登場、まちづくりにも波及する空前のサウナブーム | 日経クロステック(xTECH)


仕事サウナ

また、Z世代の採用に向け「サウナ」に関する特典をつける企業も増えています。

◆サウナ採用

サウナを通してお互いの理解を深め合う採用方法。

1. サウナでアイスブレイクし、親睦を深める
2. 仕事について知る
3. 一緒にご飯を食べる
4. 面接

上記のようにサウナを通して親睦を深め、今後の業務の参考にする企業が増えています。

(参考:【新しい採用のカタチ】Z世代を代表する企画会社が「サウナ採用」をはじめました。
(参考:「サウナ採用」に取り組むZ世代の企画会社がJSA(サウナ部アライアンス)に加盟しました

◆福利厚生にサウナ補助制度

従業員のサウナにかかる費用を一部会社が負担。
サウナ以外の温浴(温泉、銭湯、岩盤浴)でも利用可となり、施設内に限りサウナ飯も補助対象となる制度が導入され、サウナーにとっては嬉しい補助を取り入れた企業も。

(参考:RELEASE|福利厚生に「サウナ補助制度」を導入

◆ワーキングシェア

東京・東日本橋エリアにサウナ併設型のシェアオフィス「TheaterWww(シアターウー)」がオープンする(画像:以下、リリースより)

「働くがととのうオフィス」として、人とのつながりを広げるサウナ、家のようにくつろげるリビング型のオフィスやコワーキングスペースを設置し、ライフスタイル型のオフィスとして訴求する施設。

サウナは通常時は完全予約制の貸切プライベートサウナとして運営されますが、平日の午前帯はオフィス入居者に無料で開放されています。また、入居者向けに定期的なサウナミートアップを開催し、ビジネスにつながるきっかけを創出する狙いもあるようです。

(参考:東京・東日本橋に「サウナ併設型シェアオフィス」開業 新しい働き方を提案:今春に - ITmedia ビジネスオンライン

以上のように、サウナを楽しむだけでなく、様々な角度からデジタル施策アプローチでサウナの輪は広がっているようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

これまでで「サウナ」を通し、
①Z世代の置かれるデジタル環境から起こる行動心理について
②「サウナ」をツールとして展開されるデジタル施策から見る今後のデジタル施策の使い方
③「サウナ」を利用すること(消費)、利用してもらうこと(発信)がデジタルを通してどのように伝えられているのか
を中心に解説しました。

デジタルと付き合う延長線としてZ世代の注目を集めている「サウナ」。
「サウナ」利用に関する心理を読み解いたことで、「サウナ」だけではなく他の事例にも施策の基盤として反映出来ることが分かります。

今回の記事を通し、Z世代の行動理由を裏付けるデジタル運用を考えるきっかけになったのではないでしょうか?
「サウナ」のデジタル施策を通したこれからの広がり方にも要注目です。
以上の内容を踏まえ、Z世代にデジタル施策の新たなアプローチ方法を模索してみてください。