デジタルネイティブのZ世代も店舗志向?!若年層が商品購入時に大切にすることを事例と共に徹底解説!!
みなさんはZ世代がモノを購買する際、どのような手段を取ることをイメージするでしょうか。デジタルネイティブと言われる世代なので、常にオンラインショッピングで済ませているイメージを抱く方もいるでしょう。以前SORENAでは、Z世代の消費者が購買などの決断に至るまで、どのような情報収集プロセスを踏んでいるかを解説しました。(Z世代の情報収集方法とは?大切にしているのは口コミ?Z世代の情報収集プロセスを徹底解説!!)
Z世代はSNSを駆使して、口コミなど購入の参考になる適切な情報を得るために、能動的に検索をして購入の決断をことがわかりました。また、溢れている情報の中で疲れてしまい、受動的におすすめやパーソナライズされたものに頼る側面も見えました。
購入するまでのプロセスが明確になった中で、今回の記事では情報収集を経てZ世代が実際にモノを購入する際、どのような手段を選ぶ傾向があるかをまとめました。
Z世代は実は「実店舗志向」
Z世代への調査で、「新商品は実際に触ってみるまで購入しませんか?」と質問したところ、29.2%が「あてはまる」・44.2%が「ややあてはまる」と回答しています。およそ7割が、デジタルネイティブでありながら購入の最終判断を「商品を実際に触ってみる」こととしていることがわかります。情報収集はSNS上で行っても、それを目で確認することが大切となってくるのです。
(参考:無駄な買い物はしない約8割! ソーシャルネイティブZ世代の堅実消費 | 株式会社ハー・ストーリィ)
実店舗志向とはいえ、約75%が月に1回以上オンラインショッピングを使っているというデータもあります。購入する際に重要となってくるのは「商品の価格」「送料の安さ」という料金に関する二項目が高く、いかに安いかがオンラインショッピングでは大切だと考えられます。裏を返せば、値段よりも質を求めるものに関しては実店舗志向なのではないかと考えられます。
(参考:無駄な買い物はしない約8割! ソーシャルネイティブZ世代の堅実消費 | 株式会社ハー・ストーリィ))
ここからは、分野別にどのような点で実店舗が重視されているか、どのような場合だったらオンラインショッピングも利用するのか、を探っていきます。
美容品・服は74%が実店舗で購入
脱毛サロン恋肌が実施した調査では、美容品や服を購入する際はZ世代の74.4%が実店舗で購入することがわかりました。
(参考:【Z世代×SNSに関する調査を実施!】Z世代の6割以上が『Instagram』を使って情報収集していると判明。Z世代の新常識とは…?)
SHIBUYA109で実施した調査では、服の購入を検討している際、店舗を利用する理由は、1位が「友達と買い物(75.1%)」2位が「一人で買い物(63.4%)」3位が「試着をする(41.0%)」であるのに対し、オンラインショッピングを利用する理由は、1位が「一人で買い物(65.4%)」2位が「一人でネット通販サイトを見る(40.5%)」3位が「新しい商品の発見(33.7%)」であるという調査結果があります。
(参考:Z世代のファッションに関する意識調査|株式会社SHIBUYA109エンタテイメントのプレスリリース)
店舗には「友達と行ける」「実際に商品と触れられる」という点が、ECサイトには「得たい情報を得ることができる」という点が求められていることがわかります。
美容品は服は実際自分が身につけるものであるため、買い物で失敗にしないように慎重になります。まずはネットで情報収集を行い、実際に店舗に出向き目当ての商品を確認する、というルートが最も多いと考えられます。また、ECサイトでその商品がより安く購入できる場合は、店舗で商品の確認だけ行いオンラインショッピングで購入するというルートがあることも考えられます。
ただ、これにも例外があります。実店舗なしの中国発アパレルECサイト「SHIEN(シーイン)」のMAUはこの6カ月で5.2倍なり、若年層の中でもZ世代に急速な広がりを見せました。価格が1000円代と破格の安さで最新のファッションアイテムを取り揃え、価格が物を言うオンラインショッピンの世界で一躍有名になっています。消費者も、ここまで安ければ多少の失敗も覚悟の上で利用していると考えられます。
(参考:10代に広がるファッション系越境ECアプリ「SHEIN」)
本は90.2%が書店で購入
チャット小説アプリTELLERで実施した調査では、本を購入する際は90.2%が書店で購入することがわかりました。
(参考:Z世代読者に意識調査!ワカモノは紙派が多い?意外な消費行動が明らかに)
SNSで収集した情報を元に、実際の店舗で陳列されているおすすめの本などと照らし合わせながら購入予定の本を試し読みできることが、書店に出向くことのメリットだと考えられます。
美容品・服以上に実店舗志向の傾向が見られた理由としては、書店が全国にあるからだと考えられます。美容品・服は目当てのお店が行動範囲内になければECサイトを利用するしかありません。書店は比較的どこでもあるので出向きやすく、高い割合の人が書店に出向くという結果になったと考えられます。
家電は85.6%が実店舗で購入
株式会社ピアラが実施した調査では、Z世代が一人暮らしをするために家電を購入する際の購入方法は、1位が「家電量販店で購入した(55.9%)」2位が「ネットで調べ、家電量販店で実際に見て購入した(29.7%)」で、実店舗で家電を購入した人の合計は85.6%に上っていました。一方、「オンライン(ネット販売)で購入した」は、13.5%に止まりました。
家電に関しても高い実店舗志向が見られ、「家電量販店で購入した」と「ネットで調べて実際に見て購入した」を合わせると85.6%にも及びました。ネットで調べてわざわざ実店舗に行った人の理由としては「実際に商品を見たかった・触りたかった」「店員さんの意見が聞きたいから」が挙げられました。
(参考:Z世代111人に聞いた!新生活シーズン到来、 Z世代も家電選びは「店舗派」が約9割 〜コロナ禍における新接客スタイル「リモート接客サービス」を求める声 約9割〜│マーケティングコミットカンパニー ピアラ【PIALA】)
家電は商品単価が高く、長く使うものなので、まだ若いZ世代にとっては重い買い物です。また、商品の機能は詳しくない人ではないとわからない場合もあり、ネット上で見るよりも実際に見たり店員さんに聞いたりする方が選択の負担が少なく済みます。絶対失敗したくないからこその実店舗志向だと考えられます。
まとめ
この記事ではZ世代は実店舗志向だということがわかりました。
全ての分野において店舗に求められていたのは、やはり「現物を手に取ることができる」ということでした。また、一緒に訪れた友人や店員さんとの会話から得られるものも大切にされていることがわかりました。
もちろんこれは全世代が少なからず共感するところではあり、実店舗ユーザーはどの世代にも多くいます。しかし、デジタルネイティブであるZ世代だからこそ、オンラインと実店舗購入をうまく使い分けて利用している傾向にあります。
オンラインで口コミや商品情報などを情報収集し、他社製品と比較検討して自分が欲しいと思えるものの見当をつけた上で実店舗に出向く、という流れがZ世代の中にできているのです。
このように実店舗が重視される中、オンラインショップはどうしていけばいいのでしょうか。オンラインショップが求められているのは、現物を手に取ることができない分失敗しないための情報を得られるか、もしくは失敗しても大丈夫だと言えるぐらい値段が安いか、の二つであると考えられます。
Z世代のデジタルネイティブが故オンラインとリアルを使い分けるのが上手であるという点、そして経済力があまりなく買い物ではできるだけ失敗したくないという点が、念入りな情報収集の後店舗で実物を手に取るという慎重な購入プロセスに繋がっているようです。